毎日新聞が協力し大企業が協賛したJapan Blog Awardの残念な結果
━主催者━
さて、今回は、アルファブロガーというブログ賞から少し離れ、新しい賞について書いてみたいと思います。
2008年、ジャパンブログアワードという賞が創設され新聞などに報道されました。アルファブロガーアワードは前述したとおりAMNという広告代理店によって運営されています。
では、ジャパンブログアワードはどうなってるでしょうか。運営者は、二つの広告代理店社員が立ち上げた「非営利団体」となっています。ビルコム株式会社と株式会社サイバー・バズの社員が発起人ということです。広告代理店社員が発起人ということですが、では具体的に誰が運営者だったのかといえば公式サイトには書いてありません。公的に明らかにされてるのは発起人だけで運営者である「実行委員会」という存在が謎となっています。ビルコム社長、サイバーバズ社長、自らが運営に関与していたらしいことは社長のブログに記されています。
ところで、単なる余談となりますが、ジャパンブログアワードは公式サイトには「JBA」と略されて象徴的にJBAという文字をデザインして使っています。アルファブロガーアワードも公式サイトに「ABA」と略されて象徴的にABAという文字がをデザインして使っています。「エイリアンVSプレデター」を「AVP」と呼んで宣伝するように広告の世界ではありふれたテクニックなのかもしれませんが、二つのブログ賞が同じことをやってるのは興味深いです。

━審査員━
審査員がどのように選ばれたのか、審査員を誰が選んだのかはわかりません。審査員の一人は、「アルファブロガーを探せ」「アルファブロガーアワード」を主催してきた徳力基彦さんです。ブログ賞をふたつ徳力基彦さんはかけもちしたことになります。審査員を代表して式の最後でもコメントも発表しています。
かけもちした二つのブログ賞には、特徴があります。いくつもあるブログ賞のなかでメディアの協力をとりつけることに成功したブログ賞です。

━大新聞の報道と大企業の協賛━
報道や協賛について、なぜここで記述するのかというと、後述の投票結果について語るための検証材料となるからです。
毎日新聞は、審査の結果が出るまでに何度も繰り返し報道をしています。過去にもインターネットのニュースサイトがブログ賞を報じることはありましたが、大新聞が繰り返し報道をしたのは異例のことでした。
http://mainichi.jp/feature/blog/jba/
http://mainichi.jp/feature/blog/20080201mog00m300016000c.html
http://mainichi.jp/feature/blog/20080213mog00m300018000c.html
http://mainichi.jp/feature/blog/20080228mog00m300017000c.html

企業の協賛もこの手のブログ賞としては前例のない豪華さで、コカコーラ、花王、富士重工といった大企業が名を連ね、財団のfmmcの協力もあります。

━結果━
応募者は3400人でした。日本に誰かに評価してほしいブロガーは3400人もいたことになります。ここまでは、素晴らしい盛り上がりだったと思います。
しかし投票総数は6591人でした。3400人の応募者の倍の数も投票がなかったわけです。選挙をやってみたら100人も立候補してくれたが、投票総数は200票だったようなものです。大新聞が事前に報道して、名だたる大企業からの協賛の取り付けに成功し、代表的なブログサービス運営会社に協力してもらった今回のイベントですら、投票はたったの6591なのです。
それでは知名度が低いなかでひっそりと行われていた過去数年間「アルファブロガーを探せ」は、いったいなんだったのでしょうか。(「アルファブロガーアワード」に名前を変えてからは、報道も大きくなり知名度もあがりましたが。)
知名度の低い中で投票だけで決定されたのに、書籍でアルファブロガーの一人として語り、メディアにアルファブロガーとして宣伝されて出てくる人たちは何なのでしょうか。

━審査━
では、ジャパンブログアワードに話を戻します。審査のプロセスをみていきます。
一次審査は、明らかに社会的に有害なブログのみが排除されます。最終選考(四次選考)はゲスト審査員の審査と一般投票で決定されました。
しかし二次選考、三次選考は「実行委事務局が選ぶ」とされています。ゲスト審査員のプロフィールは明らかになっていますが、この実行委事務局が、何なのかはわかりません。発起人である広告代理店社員でしょうか?
そして、賞の大勢を決定している二次選考、三次選考に対しての不満をあちこちで見かけます。ジャパンブログアワードの選考過程の問題を深く追及していくことは、アルファブロガーの問題を追及してるこのサイトのテーマからははずれてしまうかもしれません。
選考過程に対する不満を訴えるブログのいくつかの紹介だけをさせていただきます。ここで紹介したサイトだけでなく、ぜひジャパンブログアワードに参加した方々たちの不満に耳を傾けてあげてください。
http://japan.cnet.com/blog/0040/2008/03/07/entry_25005790/#blogtitle
http://ameblo.jp/uhtwogh/entry-10077818751.html

━意見━
光の当たらない優良なブログが評価されること自体は、プロセスの問題さえなければ喜ばしいことです。今回の様々な問題を踏まえ、運営者の実態の透明化、審査員の人選の透明化、選考のプロセスの透明化、選考の手法の改善などができたとしたら、いい賞に育つかもしれません。半年かけてこの賞を運営された方の努力には頭も下がります。

さて、問題は「アルファブロガー」という無責任なレッテルを与える賞のほうです。アルファブロガーとは「政治に影響を与えるブロガー」と語る人もいます。アルファブロガーのトラフィックをよく調べもせずに「数百万人を集めてるアルファブロガーには私はかなわない」と妄想で語る人もいます。「凄いアルファブロガー」という都市伝説が一人歩きする一方で、野村総研のように「アルファブロガーの人数は日本に71万人」と言う話もでてくるわけです。
以下がアルファブロガーの運営者達によるアルファブロガーの紹介です。

「アルファブロガー」を知ってますか? アルファブロガーは、日本を代表するようなウェブログを書いているスゴいブロガーの方々です。ほかのウェブログからいつも参照されているようなブログ、ネットでの世論形成に大きな影響力を持っているようなウェブログ、そういうごく少数のパワーブロガーだけが「アルファブロガー」と呼ばれるのです。


皆さんは世論形成に影響を与えたブロガーを一度でも日本でみかけたことがありましたか? 日本を勝手に代表するような凄いウェブブログを見たことがありますか。 嘘をついて個人に無理やり影響力を持たせようとするのは、とても危険なのです。 ジャパンブログアワードと、「アルファブロガーを探せ」の決定的な違いも、この「架空のレッテル」を貼り付けるところにあります。

更新予定
アルファブロガーの大きなデメリット
アルファブロガーにメールを送ってみた
アルファブロガー運営者にメールを送ってみた
アルファブロガー関連書籍を多く出す翔泳社にメールを送ってみた
アルファブロガーを利用するつもりで利用される毎日新聞
アルファブロガーの定義は「ブロガーのためのSEO対策?」
アルファブロガーの成長プロセスたけくまメモ編
alexaでみるアルファブロガーのトラフィックの推移

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参考資料・サイト
ブログ
目次
仕組まれた錯覚
アルファブロガーなくして成り立たない
アルファブロガーは会員制社交クラブ!?
アルファブロガーアワードは内輪のイベント?
71万人のアルファブロガー
アルファブロガーの始まりのニューズウィークの出典
Japan Blog Awardの残念な結果
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